これまでに基本的な配色方法や、配色イメージを学習してきました。
今回はファッションにおける色彩の考え方を学習します。
ファッションにおいては、ただ色彩の組み合わせを考えるだけではなく、他にも考慮するべきポイントがあります。
色彩以外のポイントを解説しつつ、それを踏まえての総合的なコーディネートを学んでいきましょう。
ファッションコーディネートとは
ファッションコーディネートとは、シャツやパンツといった衣類の組み合わせを中心にバックなどの小物やアクセサリー、ヘア―メイクなども含めた全体のスタイルを整えることを言います。(図.1)
このように全体を考えてコーディネートすること(トータルコーディネート)をスタイリングと言います。
また、それぞれのファッションアイテムにおけるマテリアルやデザインも全体の印象に関わってきます。


マテリアルは「素材や材質」って意味だよ。
ファッションにおいては、衣類や小物類などの素材や材質などだよ!
デザインは「シルエットや見た目・形」って意味だよ。
ファッションにおいては、ウェア全体のシルエットや物の形などになるかな!
そしてファッションにおけるカラーコーディネートとは、ただ色を組み合わせて考えるだけではなく、スタイリング・マテリアル・デザインの三つの要素を抑えつつ色彩の観点でまとめることを言います。
ファッションにおける色彩の考え方
ファッションにおいては、色彩の持つイメージ・印象よりも素材や材質などが持つイメージを考える必要があります。
これまで学んだ配色の考え方は、「イメージに合った色」を用いて配色をしてきました。
例えば、「暖かみ」のあるイメージにしたい場合は暖色系で配色したり、「かわいい」イメージにしたい場合はペールトーンのような低彩度・高明度色で配色したりと色彩が持つ印象を考えて配色を決めていました。
しかしファッションでは必ずしもそうなるとは限りません。
では図.2を見てみましょう。

左の写真では赤色の服を着ています。
「赤」から連想されるイメージは熱い・情熱などですが、左の写真は熱く情熱的に見えますか?
というよりは、上品で大人な女性という印象に見えるのではないでしょうか。

「上品」「大人っぽい」のイメージを持つ色は紫系だったね!
右の写真では青色の服を着ています。
「青」から連想されるイメージは寒い・冷たいなどですが、右の写真は寒そうに見えますか?
というよりは、ダウンジャケットのような服を着て暖かそうに見えるかと思います。
このようにファッションにおいては、色から連想されるイメージよりも身についている服や小物の素材のイメージが優先して伝わってきます。

他にも、1色しか使っていない服でも光の当たり方で色の見え方が変化したりする場合もあるよ。(図.3)
ファッションにおいての色彩の考え方と、色彩学においての色彩の考え方では少し異なる部分があるよ!

ファッションにおけるカラーコーディネート
冒頭にもある通り、ファッションにおいてのカラーコーディネートは「スタイリング・マテリアル・デザイン」の三つの要素を捉えて色彩を考えていくと解説しています。
そして配色をするにあたり基本的な色の使い方は、ベースカラー・アソートカラー・アクセントカラーを考慮してコーディネートをしていきます。
この三つをそれぞれ解説していきます。

ベースカラー・アソートカラー・アクセントカラーについては【色彩検定3級】基本的な配色技法を学ぼうでも学習しているよ!
ベースカラー
コーディネートにおけるメインとなる色で、使用している面積が最も大きい色がベースカラーになります。(図.4-1)

図.4-1でのコーディネートでは赤色が一番多く使われているので、ベースカラーは赤色になります。
コートとワンピースの柄で赤色が使用されており、全体的に見て使われている比率が最も多い色なので、ベースカラーが赤色ということになります。
アソートカラー
ベースカラーに組み合わせる色をアソートカラーといいます。(図.4-2)
また面積においてもベースカラーに次いで大きい色となります。

図.4-2でベースカラーである赤色の次に白色が使われています。
なのでこのコーディネートでのアソートカラーは白色ということになります。
ベースカラーである赤色を活かすために、無彩色である白色をアソートカラーに使用していると考察できます。

ファッションコーディネートにおいては、「この色を活かしたい」「こんなイメージにしたい」などコーディネーターの思いや意図があって配色を考えていると思うんだ。
だからその意図を考えてみるのも面白いし、自分自身の勉強にもなると思うよ!
アクセントカラー
コーディネート全体を引き締めたりワンポイントとして組み合わせて変化をつけさせたりする役割を担うのがアクセントカラーとなります。(図.4-3)
単調なコーディネートに変化をつけたり、ワンポイントとしておしゃれ感をアップさせたい時などに使うと効果的です。
使用する面積は小さくし、ベースカラーやアソートカラーより目立つ色を使うのが一般的です。

図.4-3では全体を見て小さい面積で使用している色は黒色と緑色です。
よってこのコーディネートにおけるアクセントカラーは黒色と緑色になります。
アソートカラーである白色と対照的である黒色をアクセントカラーとして使うことで、全体に動きをつけつつ調和をさせていると考えられます。
また図.4のように、アクセントカラーはコーディネートにおいて必ずしも1色とは限らず、複数使用されることがあります。
さまざまなコーディネート
ファッションにおいてのカラーコーディネートでは、ベースカラー・アソートカラー・アクセントカラーを意識することが基本になると解説しました。
しかし、一色だけでコーディネートしたり何色も使ってコーディネートしたりするファッションも存在します。(図.5)
これはどちらが良い悪いということではなく、それぞれの目的や訴求するイメージを考慮することで使用する色数も変わってくるということです。


ファッションコーディネートにおいての基本的な考え方はあるけど、本来「ファッション」というのは本人の自由にコーディネートしていいものだから「この色にはこれ!」みたいな決まりは決してないよ!
練習問題
最後にまとめ問題です。
それぞれの問いに答えてみましょう。
また( )に入る言葉を答えましょう。
答えは問題文をタッチすると表示されます。
今回はファッションにおいて色彩とはどのように関わっているのかを解説しました。
これまではイメージに沿った色を使い配色することを学んできましたが、ファッションにおいては素材やシルエットによるイメージが強く、必ずしも色相がもつイメージだけが重要ではない、ということを学びました。
こういうことをしっかり理解しておくことで、より高度なコーディネートが出来るようになります。
次の章はもう少し踏み込んだカラーコーディネートについて学習していきますので、今回学んだことを忘れずに復習をしておきましょう。