今回のテーマは人体の「眼」について学習していきましょう。
このテーマが色彩検定3級の中で最も難しいのではないかと個人的には思います。
眼球の構造や、色を感知している細胞などを学習しますが、これがなかなか小難しく医学的な要素のテーマになっているので、復習も重要になってきます。
このテーマの範囲自体は少ないのですが、覚えることがぎゅっと詰まってるので、皆さんぜひ頑張っていきましょう!
私たちはどのようにして色を感じている?
私たちは視覚によって、物の形や色の情報を得ています。
そのため、色を使って何かを表現したり、色の持つ特性を生かして何かをしようとするときには、色がどのように見えているのかを知るために眼のしくみを知っておかなければなりません。
眼球に光が入ると、まず角膜で屈折が起こり次に水晶体で光を屈折させ網膜に像を結びます。(図.1)
その際、水晶体に届く前に虹彩が瞳孔の大きさを変えて光の入る量を調節します。
そして水晶体に届いた光を網膜に焦点を合わせるために、毛様体の基部にある毛様体筋で水晶体の厚みを調節して網膜に焦点を合わせています。
眼には他にも様々な役割を持つ部位があるよ。
下の図にまとめているから名称と役割を覚えよう!
- 瞳孔(どうこう)
虹彩の中央部にあり、明るい時には小さく暗い時には大きくなる。
いわゆる瞳のこと。 - 角膜(かくまく)
光を眼球内部へ屈折させ集める働きをする。 - 虹彩(こうさい)
瞳孔を広げたり狭めたりする役割をもつ。
それにより眼に入る光の量を調節している。 - 水晶体(すいしょうたい)
眼に入った光を屈折させ網膜へ焦点を合わせる。 - 毛様体(もうようたい)
毛様小帯の緊張を調節することで水晶体の厚みを調節する。 - 毛様小帯(もうようしょうたい)
水晶体の周囲を引っ張る役割。 - 強膜(きょうまく)
眼球の一番外側の部分で、かたい殻の役割を持ち眼球を保護している。
また外光を遮断する役割も持つ。
いわゆる白目の部分。 - 脈絡膜(みゃくらくまく)
強膜と網膜の間にある層。
血管が通っており、眼球全体に栄養を運んでいる。 - 網膜(もうまく)
眼に入った光を感じ取り像を結ぶ部分。
様々な神経細胞から構成されている。 - 硝子体(しょうしたい)
眼球の内部のゼリー状の無色透明の物体。 - 黄斑(おうはん)
網膜の中心部分。 - 中心窩(ちゅうしんか)
黄斑の中心部分。
視神経の密度が非常に高く、小さくくぼんでいる。
網膜の中で最も解像度が高い。 - 視神経(ししんけい)
網膜から脳へと視覚情報を伝達する神経。 - 視神経乳頭(ししんけいにゅうとう)
視神経が束ねられて眼球から出ていく部分。
この部位は視細胞がないため、ここに像が結ばれても見えない。
こんなにたくさんあると覚えるのが大変だよね。
焦らなくていいからゆっくり反復しながら覚えてね!
眼に入った光はどうやって処理されている?
眼に光が入ると、角膜で光を屈折し次に水晶体でさらに屈折して網膜に届くと解説しました。
その網膜に到達した光は、視細胞(しさいぼう)と言われる錐体細胞(すいたいさいぼう)と杆体細胞(かんたいさいぼう)が感じ取って、神経信号に変換されます。
変換された信号は神経節細胞(しんけいせつさいぼう)へと伝えられ、そこから視神経(ししんけい)を通り脳へと送られます。
網膜は複数の細胞からなる層で構成されています。
脈絡膜側から、色素上皮層(しきそじょうひそう)→視細胞→水平細胞(すいへいさいぼう)→双極細胞(そうきょくさいぼう)→アマクリン細胞→神経節細胞の順に存在し、これらの細胞が網膜で受け取った光の情報を処理しています。(図.2)
図.2を参考に解説しますと、双極細胞は視細胞と神経節細胞を結ぶ役割をしており、水平細胞は視細胞どうしを結び、アマクリン細胞は神経節細胞を結ぶ役割を果たしています。
図2で出てきた細胞の順番や役割は、結構忘れやすいから定期的に復習しよう!
➀脈絡膜側に色素上皮層、視細胞があり、反対側(硝子体側)に神経節細胞がある。
➁それらを結ぶのが双極細胞。
➂そして視細胞どうしを結ぶのが水平細胞、神経節細胞どうしを結ぶのがアマクリン細胞。
上で書いたように、いくつかの段階に分けると覚えやすいよ!
錐体細胞・杆体細胞をもっと知ろう
さきほど視細胞には錐体細胞と杆体細胞があると解説しましたが、ここでさらに詳しく解説していきます。
錐体細胞は明るいところで働き、杆体細胞は暗いところで働きます。(図.3)
錐体細胞には、短波長の光(青)を感じる”S錐体”、中波長の光(緑)を感じる”M錐体”、長波長の光(赤)を感じる”L錐体”の3種類があります。
この3種類の錐体の組み合わせで人は色を識別しています。
S錐体、M錐体、L錐体それぞれのアルファベットはShort、Middle、Longの頭文字からとっているよ!
Short → 短い → 短波長
Middle → 中間 → 中波長
Long → 長い → 長波長
どの錐体がどの波長を感じ取っているか比較的覚えやすいね!
錐体は感度が低いので十分な光がないと神経信号を出すことができません。
暗い所で私たちが色を認識しずらいのはこのためです。
これに対して杆体は感度が高くわずかな光でも神経信号を出すことができます。
そして杆体は1種類しかなく、明暗の感覚を識別しています。
錐体細胞と杆体細胞は分布している所や数にも違いがあります。
錐体細胞は杆体細胞よりも個数が少なく、黄斑に集中して分布しています。
その中で中心窩には錐体細胞しか存在しておらず、中心窩は網膜の中で最も解像度が高く、私たちが物をじっくり見る時はこの部分を使っています。
杆体細胞は錐体細胞よりも個数が多く、網膜全体に分布しています。
そして中心窩には杆体細胞は存在していません。
錐体細胞と杆体細胞も覚えることが多いから少しまとめてみるよ。
錐体細胞
・S錐体、M錐体、L錐体の3種類ある
・明るいところで働き色を識別する
・感度が低い
・杆体細胞より少なく黄斑に分布
・中心窩に存在する
杆体細胞
・1種類しかない
・暗いところで働き明暗を識別する
・感度が高い
・錐体細胞より多く網膜全体に分布
・中心窩に存在しない
練習問題
最後にまとめ問題です。
それぞれの問いに答えてみましょう。
また( )に入る言葉を答えましょう。
答えは問題文をタッチすると表示されます。
ここで小休憩。
今回は覚える要素が多いから問題も多くなっているけど頑張って!!
お疲れ様でした。
練習問題は全問正解できましたか?
間違えた個所があればもう一度復習してみましょう!
いかがでしたか。
内容が比較的難しいので一発ですべて覚えるのは難しいですよね。
ここのテーマは何回も反復することをお勧めします。
僕自身も覚えるのが大変で苦労しました。
冒頭でも述べましたがここが一番の難所だと思うので、しっかりと復習をして頑張って乗り切っていきましょう!