街を歩いている時赤いジャケットを着ている人がいたら、なぜかその人を見てしまいますよね。
それは、色が私たちの感情や行動に深い影響を与えるからです。
例えばスーパーのセールコーナーで目にする赤いバーゲン価格や、リラックスした気分にさせる青い寝室などがありますね。
これらの色は人の感情にどういった影響を与えるのかを考え、そして色が決められています。
このように色には人に与える心理的効果があります。
今回は色にはそれぞれどんな心理効果があるのかを学習していきます。
色の三属性と心理効果
赤色を見ると「暖かそう」、青色を見ると「冷たそう」、他にも緑色だと「落ち着く」紫色だと「ミステリアス」のように色には様々な心理的な働きがありこれらは色の三属性と密接な関係があります。
暖かい色と冷たい色
赤やオレンジ、黄などの色を見たときは暖かく感じられ青や青緑などの色を見たときは冷たく感じます。
こういった温かみを感じる色は暖色(だんしょく)、冷たさを感じる色は寒色(かんしょく)と呼ばれ、暖色でも寒色でもない緑や紫色などは中性色(ちゅうせいしょく)と呼ばれます。(図.1)
「暖色・寒色・中性色」をPCCSの色相環(24色相)で分類すると、1:pR~8:Yが暖色系、13:bG~19:pBが寒色系、それ以外が中性色系となります。
こういった色を見た時の温かい、冷たいなどの温度の感じ方は色の寒暖感(かんだんかん)と呼ばれています。
また色の寒暖感は、色相との関係が強いのが特徴です。
しかし彩度が低くなるにつれ寒暖感の印象も弱くなっていきます。
例えば暖色である純色の赤色だと温かみを感じますが、低彩度だと同じ色相でも温かさの印象が弱くなります。(図.2)
中性色と中間色は一文字違いで似ているから、「どっちがどっちだったっけ?」と間違いやすいので注意してね!
色の違いによる遠近感
同じ物を同じ距離から見る時に、色の違いによって近く見えたり遠く見えたりすることがあります。
こういった色による近い遠いと感じる印象を色の進出・後退感(しんしゅつ・こうたいかん)と言います。
近くに見えるように感じる色を進出色(しんしゅつしょく)、遠くに見えるように感じる色を後退色(こうたいしょく)と言います。
色の進出・後退感は、色相との関係が強いのが特徴です。
赤や黄などの暖色系は近くに見え、青や青紫などの寒色系は遠くに見えます。(図.3)
また同じ色相の場合でも、高明度の方がより近くにあるように感じます。
色の違いによる大小(大きさ)
同じ大きさの物でも色の違いにより実際より大きく見えたり小さく見えたりします。
これを色の膨張・収縮感(ぼうちょう・しゅうしゅくかん)と言います。
大きく見えるように感じる色を膨張色(ぼうちょうしょく)、小さく見えるように感じる色を収縮色(しゅうしゅくしょく)と言います。
色の膨張・収縮感は、明度との関係が強いのが特徴です。
明度が高い色は大きく見え、明度が低い色は小さく見えます。(図.4)
また色の膨張・収縮感には色相の違いによる影響はあまりなく、色相が違っても明度が同じならば大きさの見かけはほとんど変わりません。
色の違いによる柔らかさ硬さ
色の違いにより、物の見た目の硬さ柔らかさの印象も変わってきます。
これを色の硬軟感(こうなんかん)と言います。
明度が高いほど柔らかい印象になり、明度が低いほど硬い印象となります。(図.5)
特に黒色は硬い印象を与えます。
また色相の違いによる硬軟感の印象はあまり違いがないと言われていますが、実際暖色系と寒色系を比べてみると、暖色系の方が少し柔らかく、寒色系は少し硬い印象になります。
色の違いによる重さ
同じ物でも色が違うと重たそうに見えたり軽そうに見えたりします。
色の違いによる重さを感じる印象を、色の軽重感(けいじゅうかん)と言います。
色の軽重感は、明度との関係が強いのが特徴です。
明度が高い色は軽い印象となり、明度が低い色は重たい印象になります。(図.6)
また明度が同じときは、色相や彩度が違っていても軽重感の印象はあまり変わりません。
色の軽重感によって「重そう・軽そう」といった先入観がある時に、それを実際に持ちあげると重そうに見えたものは軽いと感じ、軽そうに見えたものは重たいと感じるよ!
見た目の印象が違うだけで、実際の感じ方も変わるのは不思議だよね!
色の違いによる興奮・沈静
色には気持ちを高めたり落ち着かせたりする効果があります。
色の違いによって興奮や沈静を与える印象を、色の興奮・沈静感(こうふん・ちんせいかん)と言います。
色の興奮・沈静感は彩度と色相との関係が強いのが特徴です。
彩度が高い暖色系の色は興奮感を与え、彩度の低い寒色系の色は沈静感を与えます。(図.7)
暖色系であっても彩度が低ければ興奮感はあまり感じられず、同じように彩度が高い寒色系も沈静感は弱まります。
色の違いによる派手・地味
色には、派手な印象を与える色と地味な印象を与える色があります。
色の違いによる派手や地味と感じる印象を、色の派手・地味感(はで・じみかん)と言います。
色の派手・地味感は彩度との関係が強いのが特徴です。
彩度が高い色ほど派手な印象を与え、彩度が低い色ほど地味な印象を与えます。(図.8)
また明度も少し関係してきます。
例えばpトーンは低彩度ではあるものの、明度が高く派手さはあまりないが決して地味とも言い切れません。
反対にdpトーンは高彩度ではあるものの、明度が低いので派手過ぎず地味過ぎずと言ったところでしょう。
色から連想されるイメージ
私たちは色を見た時に、その色から様々なことをイメージすることがあります。
例えば、「赤」と言えば太陽やトマトなど実際の物だったり、熱いや情熱のような抽象的なことまでイメージできます。
このような色を見た時にその色と関連した物をイメージすることを色の連想と言います。(図.9)
色の連想には時代や文化にとらわれず普遍的なイメージを持つ色があるよ。例えば「黒」は闇や死を連想させ、これはいつの時代でも国が違っても同じようなイメージを持っているんだよ!
逆に同じ色でも国や生活環境によって連想されるイメージが違う色もあるよ。
例えば日本では太陽と言えば「赤」と連想できるけど、欧米では太陽は「黄」と連想されることが多いよ!
色の連想の中でも一般に深く浸透したイメージを色の象徴性(しょうちょうせい)と言います。
色の象徴性の例と言えば信号機が挙げられます。
「青」は進め「赤」は止まれのように、これは誰が見てもこういう連想がされます。
また「赤」から「熱いや情熱的」と連想できるのも色の象徴性と言えるでしょう。
色の象徴性も国や文化が違えば、連想されるものにも違いが出てくるよ!
色の連想は企業のロゴマークにも活用されています。
活発さをアピールしたい企業などは「赤色」を用いたロゴだったり、信頼性や真面目さをアピールしたい企業は「青色」を用いたロゴだったりします。
こういった企業を象徴する色のことをコーポレートカラーと言います。
ですが業界が同じ場合、自社と他社で色が被ったりする場合もあるので必ずしも色の連想のみでロゴのデザインを決定しているわけではありません。
色の連想は食品や医療品のパッケージ、本の表紙や製品の色など様々なところで活用されているよ!
辛い食べ物は赤色のデザイン、掃除用品は白色のデザインなどいろいろ観察してみると勉強になるよ!
練習問題
最後にまとめ問題です。
それぞれの問いに答えてみましょう。
また( )に入る言葉を答えましょう。
答えは問題文をタッチすると表示されます。
お疲れ様でした。
練習問題は全問正解できましたか?
間違えた個所があればもう一度復習してみましょう!
今回は色が持つ色彩心理を解説しました。
色相の違いによる印象の変化や明度、彩度の違いによる印象の変化など比較的感覚では分かりやすかったかと思ういます。
これらを人に説明できるまで自分自身に落とし込めれば試験でもバッチリだと思いますので、しっかり復習等頑張っていきましょう。
また今回学習した色彩心理はあくまでも心理的な印象なので、人によっては受け取る印象も違ってくるので必ずしも今回学習したことが万人に当てはまるということはないので、そのことはしっかり理解しておいてください。